指を動かし、かつての台南を散策しよう

台南民生緑園の周辺にはいくつもの古い建物が点在している。南側の台湾文学館は日本統治時代における台南州行政の中心地であった。また、西側の消防署は高く聳えるタワーが80年前に火災から人々を守るという重要な役割を担い、北側の呉園水榭は今でも清時代の庭園の姿を保っている。街角で昔の時代に思いを馳せたい時、中央研究院デジタル文化センター(Academia Sinica Center for Digital Cultures)がデジタルと文化を結合して研究・開発した「台南歴史地図」アプリにより実現可能となる。このアプリを通して、指だけを使い、現代から過去に戻ったような体験ができる。貴重な史料はもう手の届かない収蔵品ではなくなったのだ。

「台南歴史地図」アプリは1875年から1978年の間に発行された古地図と古写真を収録している。Googleマップやストリートビューに重ね合わせる機能、そしてモバイル端末のGPS機能を通して、利用者は歩きながら、手元にある地図や写真に照らし合わせることができる。まるで過去にタイムスリップしたかのように、華やかな老台南を再現するだろう。 本アプリには、中央研究院地理情報科学研究センター(Center for GIS, RCHSS, Academia Sinica)が提供する、台南城内を範囲とする11枚の各時代の台南街路図の他、中央研究院台湾史研究所(Institute of Taiwan History)と国立台湾図書館、国立台湾大学図書館が所蔵する官庁建築から市街商店の写真まで、計129枚の古写真も収められている。

台南歴史地図
台南歴史地図
台南歴史地図

注意事項: 1.古地図が示す位置は100%の精度を保証するものではありません。ご参考として提供しております。また、APPの操作により生じる損害について、当センターは一切責任を負いません。予めご了承ください。 2.Googleマップとストリートビューを使用する際は、インターネット接続が必要です。

資料提供機関

中央研究院人文社会科学研究センター附属地理情報科学研究センター

近年、人文社会科学の分野では、地理情報システム(GIS)による研究に取り組まれている。中央研究院人文社会科学研究センターは2006年にGISセンターを設立し、各時代の地図、航空写真、衛星画像、統計データなどのデジタルリソースを大量収集し統合する作業を行った。さらにGIS技術を駆使して、「台湾百年歴史地図」「地図総合検索システム」「台湾歴史文化地図(THCTS)」「中華文明時空の基本構造(CCTS)」「文化資源地理情報システム」「地図博覧会―統計地理情報システム」など一連の学術用データベースやシステムを構築した。これらの豊かな研究素材やツールは、人文社会科学研究、郷土歴史文化研究での大きな利器となるだろう。 詳しくは地理情報科学研究センターのHPを参照。

中央研究院台湾史研究所

中央研究院台湾史研究所は、台湾史フィールド研究計画事務所時代の初志を受け継ぎ、1993年の台湾史研究所設立事務所成立から、史料の収集に努めている。2004年の正式成立後、次々と数多くのデジタルアーカイブプログラムを立ち上げ、デジタル形式で古文書、政府公文書、個人文書、画像など貴重な文化的歴史資源を収集所蔵していった。今回収録した写真の一部は、同研究所製作「台湾研究古籍資料庫」からの提供を受けている。

国立台湾図書館

国立台湾図書館は16万冊余りの日本語資料を所蔵している。日本統治時代の台湾総督府図書館、南方資料館が所蔵したもので、絶版本など貴重な資料が数多くある。2005年からデジタルアーカイブの構築に力を入れ、マイクロフィルムで保存された日本語資料のデジタル化を進めている。また、インターネットを通じて、オンライン検索とデジタル資料の閲覧を提供している。今回収録した写真の一部は、同図書館制作「日本統治時代図書画像システム(Image System for Books of Japanese-ruled Period)」からの提供を受けている。

国立台湾大学図書館

国立台湾大学図書館は台湾に関する書籍と刊行物を数多く所蔵している。所蔵する日本統治時代の資料には、教育、衛生、政治、経済、交通、地理環境、植物、動物、鉱産物、林業、牧畜、農産物、社会、文化、言語、考古、文学、旅行など台湾に関する様々なテーマについて、多様かつ豊富な内容に及んでいる。また、挿絵や写真を掲載する資料が多いため、過去の画像記録を提供している。今回収録した写真の一部は、同図書館制作「台湾古写真データベース(Database of Taiwanese Old Photos)」からの提供を受けている。

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